誰かがどこかで救われる

「心愛は俺が嫌い?」

くるっと振り返った彼の顔をもっと近くで見たくなる。

今度は私から一歩近づくと
平子君は焦った顔をして私を見下ろす

「平子君」

「うん」

「背が伸びた」

「うん。5センチ伸びた」

「私は平子君が嫌いじゃない」

「うん」

「もしかしたら好きになるかもしれない」
って言いながら
もう私は平子君を好きになってるかもしれない

今は言わない方がいいかもしれない
女子のカンでそう思う。

「マジで?」

「うん」

「じゃ……彼氏と彼女になろう」

彼氏……くすぐったいな。

うつむいて「うん」って言ったら

「よっしゃーーー!!!」

って
大きく平子君はまた叫ぶ。

そんな姿が

やっぱり

好き……かもしれない。


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