誰かがどこかで救われる
「中原君も?今日はバスケ早いね」
顔を見られると恥ずかしいので
私は早口で言い
靴を履きかえてカバンから折りたたみ傘を取り出した。
「今日は整骨に行くから早めに上がったんだ……心愛ちゃん……傘持って来たの?」
「あ……うん。降るかなって思って」
「入れてくれる?」
「え?」
「走ろうかどうしようか悩んでたんだ。走ってまた足が痛くなっても嫌だし」
「一緒に?」
「うん。近くのショッピングモールの中にあるんだ整骨院。あ、ごめん僕と一緒なんて嫌だよね。ごめんね」
慌てて言われたので
「嫌じゃないよ」って
もっと慌てて返事をして
私と中原君は
ツーショットでひとつの傘で下校する。