銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
破瓜の痛みなのか、顔を歪める彼女。

俺の背中に手を回すその手の指先に力が入った。

男には慣れていなかったし、多分処女だったのだろう。

最近の令嬢は結構遊び慣れていて、経験も豊富。

だが、彼女はそういう女じゃない。

「大丈夫か?」

気遣うように声をかければ、「へ、平気……よ」と痛みを堪えながら彼女は俺を見つめてくる。

まだ痛いんだな。

それなのに、俺に心配させまいとする。

そんな彼女にどうしても言いたくなった。

「愛してる」

艶やかな髪を優しく撫でながら、彼女の耳元で囁く。

「……私も。あなたのこの綺麗な銀の髪も……この爪も……好き」

彼女は俺の手を掴み、黒い爪にそっと口付ける。

その優しさに胸が熱くなった。

セシルを知る度、愛おしさが増す。

どんどん好きになって、もう彼女のいない世界なんて考えられない。

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