銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
聞き覚えがない男性の声。

誰?

……夢でも見ているのだろうか?

「俺の女にしたら、どんな顔をするかな?」

凶悪な響きを宿したその声に身体がビクッとなって目が覚めた。

目に映ったのは玉座のような豪華な椅子に座っている男。

陛下ではない。

歳は五十くらい。鋭い緑の目に、白髪まじりの長い髪。

少し似てはいるが、この男は傲慢で強欲そうな顔をしている。

一体これは……誰?

彼の横には彼の部下らしき貴族が数人とシャーロットがいて談笑している。

その周囲では、夕暮れ時なのか、使用人がランプに火を灯していた。

どうやら数刻は眠っていたらしい。

腕にも足にも枷がつけられていて痛い。

これではまるで囚人だ。

それに……ここはどこ?

黄金に輝いた天井、異国のものと思われる調度品。

耳を澄ませば、微かに波の音が聞こえる。
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