銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「ごめんなさい。あなたのことは嫌いじゃないけど、あの方に頼まれたから帰せないわ。ネイサン、彼女を運ぶわよ」

シャーロットは近くにいた護衛に命じる。

すると、ネイサンと呼ばれた男が私に近づいた。

瞼が重くなって……視界もぼやける。

その男が私に手を伸ばしてくると、その手を振り払った。

「い……や」

それは、最後の抵抗。

男の帽子が落ち、その顔が露わになった。

残忍な笑みを浮かべるその顔には見覚えがある。

“逃げなきゃ”と思うのに逃げられない。

だんだん遠くなる意識。

「頰……に……傷……」

そう呟いて、そのまま黒い闇に飲み込まれた。





「あいつはさぞかし悔しがるだろう」

遠くで声がした。
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