銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
12、過去と向き合う ー ジェイクside
「またここに来ることになるとはな」

馬を降りると、少し遠くから海の塔を眺め、苦く呟く。

海の塔のテッペンには、サーロンの紋章である緑の鷹の旗が掲げられ、はためいていた。

叔父があそこにいる証拠だ。

ゴードンのサーロン脱獄の知らせで宮殿を後にした俺達は、馬を走らせ王都の外れにある海の塔の近くまでやってきた。

俺とゴードンとその腹心の部下の総勢十二名。

ゴードンの部下は、百戦錬磨の強者揃い。

少数精鋭だ。

それに、この人数の方が動き易く、敵に見つかりにくい。

空では、ヒューゴが塔の周りを飛んでいる。

海から昇る朝日。

景色は美しいのに、それを見て顔が歪んだ。

ここにいると、過酷だった日々を思い出す。

脱出するのに三年かかった。

父とは別の部屋に閉じ込められていて、意思の疎通はヒューゴを介して行った。
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