銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
サーロンが私の夜着に手をかけたその刹那、ガシャンという音と共にベッドの横の窓ガラスが割れてヒューゴが飛び込んできた。

今だ!

忍ばせておいた短剣を取り出せば、ヒューゴがサーロンに襲いかかった。

「なんだ!……こいつ……王太子の……いてっ」

驚きで目を丸くしながら、サーロンは右手でヒューゴを振り払う。

左手で私の身体を掴もうとする彼に短剣を向けた。

「触らないで!」

サーロンを睨みつけながら、後ずさりして窓に近づく。

「両親を死に追いやったお前に抱かれるなんて嫌よ!」

思い切り叫んで窓から出ようとしたが、下は手のひら程の足場があるだけ。

足を滑らせれば、真っ逆さまに断崖絶壁の海に落ちてしまう。

足がすくむが、迷っている時間なんてない。

意を決して窓から飛び出すが、持っていた短剣を海に落としてしまった。

それを見て怖くなる。
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