銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
恐怖と痛みでおかしくなりそうだった。

でも、ジェイとの約束を思い出し、勇気を奮い立たせる。

彼のところに戻るんだ。

そうよ、私はこんな男に負けない。

「嫌よ!」

渾身の力を振り絞り、サーロンの手を振り払う。

だが、今度は髪を掴まれた。

「キャア!」と声を上げると、下でネイサンと交戦していたジェイが口笛を鳴らした。

スゥーッと風を切る音が聞こえたかと思ったら、ヒューゴがサーロンの目を突く。

「うわあ〜!」と呻き声を上げたサーロンは、私の髪を離した。

ジェイもネイサンを倒したのか、私に向かって両手を広げる。

「セシル、飛べ!」

彼を信じて、飛び降りた。

失敗したら海に落ちるとか考えなかった。

ただ夢中だった。

それからはゆっくり時が流れて見えて……。

ジェイが私の身体をしっかり受け止めると同時に、ヒューゴの攻撃でサーロンはバランスを崩し、海に真っ逆さまに落ちた。
< 240 / 263 >

この作品をシェア

pagetop