銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
大司教を殺める気は毛頭ないし、これまでだって人を殺めたことはない。

「早く逃げるのよ!」

令嬢達に向かって思い切り叫ぶと、躊躇いながらも彼女達はこの場から逃げ出す。

「百金貨やろう。私を離してくれ」

短剣を見て大司教は怯えながら懇願した。

「大司教、あなたには失望したわ。その法衣が泣くわよ」

皮肉を言って、大司教のみぞうちに一発食らわせる。

すると、気を失って床にバタンと倒れた。

だが、状況は好転しない。

むしろ悪化している。

三〜四人の男達に囲まれ絶対絶命。

最悪の事態に、額にじわりと汗が滲む。

どう逃げる?
正面突破して振り切る?

いや、周りにいるオークションの参加者に捕まる可能性もある。

じゃあ、どうすれば?

自問自答していたら、背後にいる男に羽交い締めにされ、あっさりと短剣を奪われた。
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