銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
周りの空気までもが張り詰め、息苦しさを感じる。

「エミリー、どうして黙っている?」

彼の目は私を捕らえたまま離さない。

『エミリー』と呼ばれてホッとしていいはずなのに、何故か胸がチクンと痛んだ。

「……どうしていいか……わからないから」

それは私の本心。

か細い声でそう言い訳すれば、彼の表情は少し和らいだ。

「確かに相当緊張しているな」

彼が布越しに胸に触れてきて、思わず「あっ」と声を上げた。

心臓がバクバクいっている。

抗わずにただ胸を大きく上下させるだけの私をジェイは楽しげに眺め、言葉を紡ぐ。

「そんなに緊張しているのは男に慣れていないからか?それとも……俺に何か隠しているからかな?」

彼の質問に動揺を隠せない。

二つとも当たっていた。

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