銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
呆気に取られた様子のジェイ。

そんな彼を下敷きにして、なぜかドキッとした。

考えてみたら、私の周囲には彼のような若い青年はいない。

みんな父と同じ年くらいの人ばかりだ。

「わ、私が押しただけで押し倒されるなんて、あなた弱いのね」

平静を装って生意気な口をきくも、相手は胸を上下させ苦しそうにしている。

あっ、いけないことしちゃった!

私に簡単に押し倒されるくらいジェイは辛いんだ。

「ご、ごめんなさい!」

慌てて起き上がろうとしたら、彼の手が私の肩を優しく掴む。

「……しばらくこのままで」

「え?私……重くない?」

心配になって確認すれば、彼は穏やかな声で告げた。

「重くない。君があったかいから、安心する」

「本当に?」

「ああ。少し君の元気を分けて欲しい」

耳に心地よい声でジェイは頼む。
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