オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
「きゃー!遙姉ラブラブじゃん。少し前まで失恋して随分落ち込んでたから心配していたけどこ~~~んなイケメンな彼氏ができて本当に安心した」

香奈が私と浩太郎さんを交互に見ながら笑みを浮かべる。

「僕もこんな素敵な女性と巡り会えて本当に幸せ者です」

2人の会話を複雑な思いで見ていたのは私だけではなかったようだ。

「あ、あの……俺、急ぐので」

視線を外しながら軽く会釈すると智也はその場から立ち去った。

内心ホッとしたのもつかの間。香奈が智也の後ろ姿をじーっと目で追いながら意外な言葉を口にした。

「さっきの人、ちょっとタイプかも……」

「え?!」

自分でもびっくりするような大きな声に香奈も驚く。

「遥姉何大きな声出してるのよ~ただ単にかっこいいな〜って思っただけなのに」

「だって……」

その後に続く妥当な言葉が見つからない。

「遥……そろそろ時間だよ」

浩太郎さんが助け舟を出すかのように私を呼んだ。

「は、はい」

返事をすると浩太郎さんが優しいく微笑み私の手をぎゅっと握った。

「香奈さん、僕たちこれから行くところがあるから失礼します。音もds地とのケーキバイキング楽しんできてください」

「は、はい。それと……遥……姉のことよろしくお願いします」

香奈が深々と頭を下げる。

智也のことを友達と言ったり浩太郎さんと付合っているとは言い難いのに結婚前提って事になってたり、香奈に嘘をついているみたいで心が痛む。

「僕の方が彼女にメロメロなんで安心してください」

歯の浮くような言葉をさらっとさも当たり前の様に言うところはある意味凄い思った。

< 61 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop