オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
初めて出会ったときからのことを考えると俺様な所は多々あるが、会えば会うほど彼の優しさを知った。

そんな彼の胸にすっと飛び込んでいけたらきっと楽なんだろう。

そう思うと自分に正直な香奈をうらやましう思う。

香奈は会釈すると友達の方へ行ってしまった。

香奈と智也がいなくなった途端、緊張が解けたのか「はぁ~~」っと大きな溜息が出た。

偶然とはいえ智也と香奈、そして私たちが同じ場所にいたのには何か意味があったのかと思ってしまう。

それほど私にはとても衝撃的だった。

香奈は彼氏と別れ今はフリーだ。そんな香奈が智也をみてタイプだと言った時、私は別れているのにもかかわらず
心の中で「取らないで」と思ってしまった。でもそれが智也に対して未練があるからなのか10年付合ったプライドからなのか正直よくわからない。

「トニーたちと会食していた時より緊張したろ」

「……そうですね」

「じゃあ……行こうか!」

浩太郎さんは繋いだ手を離さず歩き出した。

「ど、どこへ行くんですか?」

浩太郎さんは前を向いたまま「いいところ」といった。

そして止ってるタクシーに乗り込むと私には聞こえないような小さな声で運転手さんに行き先を伝えるとタクシーはゆっくり動き出した。

迎えに来てくれた浩太郎さんの運転手さんには帰ってもらったそうだ。

でも…一体どこへ向かっているのだろう。
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