嘘つきな君

「どうして大人って、こんなにも生きにくいんだろうな」


暫くして、私の頭の上にあった手を自分の後頭部に回して、深く椅子に体を預けた先輩。

そして、小さな椅子の軋む音と共に天井を見上げた。


その言葉を聞いて、本当だなと思う。

もっと思うままに生きられたら、きっとみんな幸せだろに。

思うままに恋をして、思うままに生きて。

そんな簡単な事が、私達はもう出来ない。


沢山のしがらみの中で生きていかなければならないから、自分の思うままになんて生きていけない。

年を取るごとにそれらが増えて、いつのまにか選択肢が少なくなっていく。

がんじがらめになって、どこへも行けなくなる。


ただ、好きなだけなのに。

ただ、傍にいたいだけなのに。

想いを伝える事も、もはや許されない。


だけど、先輩の話を聞いた今でも思う。

変わらず心の中にある想いがある。

それは、やっぱり彼が好きだって事。


聞き分けの悪い私は、まだ悪あがきを続ける。

先輩の話を聞いて、『はい、分かりました』って大事なものを簡単に諦めたりはできない。

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