嘘つきな君
ポタポタと落ちていく涙が、強く握りしめた拳の上に降り積っていく。
こんな姿を見て、先輩は困っているだろうに。
それでも、涙は止まってはくれない。
すると。
「でも、ここ最近アイツは変わった」
先程とは少し違う声色で話し出した先輩の声に、ゆっくりと顔を上げる。
すると、いつもの様に優しく私を見つめる瞳がそこにはあった。
「芹沢と会ったあの日から、少しづつアイツは変わっていった。以前の様に、笑う様になった」
「――」
「俺は、芹沢のおかげだと思ってる」
そう言って、優しく微笑んだ先輩。
その言葉に、胸の奥が温かくなる。
「応援はできない。それは分かるな?」
「――…はい」
「幸せになんて、なれないんだから」
分かっている。
その名の通り、叶わない恋だから。
幸せなゴールインなんて、決してない恋だから。
優しい先輩は諦めろとは言わない。
忘れろとは言わない。
私がそうできない事を、知っているから。
どこまでも優しい先輩。
大きな手が何度も頭を撫でてくれるもんだから、少しづつ心が落ち着いていった。