嘘つきな君
すると、ゆっくりと私を腕の中から解放した彼。
そっと私の肩に手を添えて、涙で濡れる私の顔を覗きこんだ。
「もっと、他の方法でお前を守るべきだった」
「他の……方法?」
「俺が子供だったせいで、結局、俺はお前も彼女も傷つけた」
彼女――。
それは、きっと桃香さんの事。
確かに、間違いなく彼女も傷ついたと思う。
『政略結婚』だったとはいえ、彼女は常務を愛していた。
だけど、彼は私を好いていてくれた。
そんな心の内を知っているのに結ばれたって、辛いだけだ。
微かな沈黙が私達を包む。
それでも、僅かに下を向いていた彼の瞳が再び私に向けられる。
その瞳は強くて、何かを決心したように真っ直ぐだった。
「だから、踊らされていると分かった瞬間、俺は決めた」
「……決めた?」
「あぁ。俺は俺のやり方で、お前も、神谷グループも守ってみせるって」
そう言って、いつもの自信家な表情で私の顔を覗き込んだ彼。
懐かしいその表情に、目を瞬く。
「言っただろう? 俺は世界で一番我儘なんだって」
懐かしいその言葉に、思わず息の下で小さく笑う。
彼と付き合いはじめた夜に聞いた、言葉。
何度も私を諦めようとしたけど、諦められなかったと、彼は言った。
あの眩しかった日々――。
「でも、違った」
「違った?」
思わず首を傾げた私を見て、クスクスと微かに笑った彼。
そして。
「世界で一番、諦めが悪い男だった」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
ケラケラと、声を上げて。
彼も同じ気持ちで私の事を想っていてくれたと分かって、嬉しくて堪らなくて。
そっと私の肩に手を添えて、涙で濡れる私の顔を覗きこんだ。
「もっと、他の方法でお前を守るべきだった」
「他の……方法?」
「俺が子供だったせいで、結局、俺はお前も彼女も傷つけた」
彼女――。
それは、きっと桃香さんの事。
確かに、間違いなく彼女も傷ついたと思う。
『政略結婚』だったとはいえ、彼女は常務を愛していた。
だけど、彼は私を好いていてくれた。
そんな心の内を知っているのに結ばれたって、辛いだけだ。
微かな沈黙が私達を包む。
それでも、僅かに下を向いていた彼の瞳が再び私に向けられる。
その瞳は強くて、何かを決心したように真っ直ぐだった。
「だから、踊らされていると分かった瞬間、俺は決めた」
「……決めた?」
「あぁ。俺は俺のやり方で、お前も、神谷グループも守ってみせるって」
そう言って、いつもの自信家な表情で私の顔を覗き込んだ彼。
懐かしいその表情に、目を瞬く。
「言っただろう? 俺は世界で一番我儘なんだって」
懐かしいその言葉に、思わず息の下で小さく笑う。
彼と付き合いはじめた夜に聞いた、言葉。
何度も私を諦めようとしたけど、諦められなかったと、彼は言った。
あの眩しかった日々――。
「でも、違った」
「違った?」
思わず首を傾げた私を見て、クスクスと微かに笑った彼。
そして。
「世界で一番、諦めが悪い男だった」
その言葉に、思わず笑ってしまう。
ケラケラと、声を上げて。
彼も同じ気持ちで私の事を想っていてくれたと分かって、嬉しくて堪らなくて。