嘘つきな君
◇
「倒産――っ!?」
週末で人が溢れかえるワインバーに、友人の仁美(ひとみ)の大声が響き渡る。
その声のボリュームと発言した言葉に、辺りにいた人が一斉にこちらを向いた。
「声がデカイよ~」
「あ、ゴメンゴメン。で、本当なの!?」
「本当だよ~。嘘ついてどうすんのさ~」
手に持っていたワインをテーブルの上に置いて、項垂れる私の顔を覗き込んできた仁美。
心なしか楽しんでいる様に見える。
「一昨日のニュース見なかったの~?」
「あぁ~確か、インサイダー・・・なんたら? だっけ」
「インサイダー取引。で、社長が蒸発。全職員解雇っ!! 倒産っ!!」
自分で言っておいて、自分が惨めになる。
あれだけ職場に貢献して頑張ってきたのに。
給料が低くても文句一つ言わずに頑張ってきたのに。
この仕打ちは、一体なんなんだ。