嘘つきな君




「倒産――っ!?」


週末で人が溢れかえるワインバーに、友人の仁美(ひとみ)の大声が響き渡る。

その声のボリュームと発言した言葉に、辺りにいた人が一斉にこちらを向いた。


「声がデカイよ~」

「あ、ゴメンゴメン。で、本当なの!?」

「本当だよ~。嘘ついてどうすんのさ~」


手に持っていたワインをテーブルの上に置いて、項垂れる私の顔を覗き込んできた仁美。

心なしか楽しんでいる様に見える。


「一昨日のニュース見なかったの~?」

「あぁ~確か、インサイダー・・・なんたら? だっけ」

「インサイダー取引。で、社長が蒸発。全職員解雇っ!!  倒産っ!!」


自分で言っておいて、自分が惨めになる。

あれだけ職場に貢献して頑張ってきたのに。

給料が低くても文句一つ言わずに頑張ってきたのに。

この仕打ちは、一体なんなんだ。



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