嘘つきな君
「それで……私を?」

「それに、あんたは物覚えがいい。秘書に向いてる」

「――」

「それが理由」


真っ直ぐに私を見つめる、黒目がちな瞳。

どこか退廃的な空気を纏うその姿から、目が離せない。

まるで魔法にかかった様に、惹き込まれていく。

それでも、逃げるように視線を外して憎まれ口を叩く。


「――…私、口悪いですよ」

「知ってる」

「秘書って外見じゃないし、初めてだから分からない事だらけですし」

「あぁ」

「それに、他の秘書みたいに、何でも、はいはい言う事聞かないですよ」

「だろうな」

「怒ったら、暴れるかもしれないし」

「野獣かお前は」


素直じゃない私の口から零れる、強がりな言葉。

まさか真剣に答えてくれると思っていなかったから、ああ言ってくれてなんだか照れくさかった。


ううん。

嬉しかった。

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