嘘つきな君

自分から聞いておきながら、恥ずかしくて常務の顔を見る事ができなくて、俯きながら答えを待つ。

微かな沈黙に窒息してしまいそうになる。

それでも。


「例え仕事ができても、俺は心のない奴とは仕事はしたくない」


そう言った彼の言葉で、俯いていた顔をゆっくりと持ち上げる。

顔を上げた途端目が合って、ドキッと心臓が高鳴る。


初めて会った時と同じ様に、淡い灯りの中に浮かぶ常務の顔。

凛とした空気を孕むその姿から目が離せない。


「初めて会った時、おまえ言っただろ」

「え?」

「仕事が好きなんだって」


そう言われて思い出す、あの日の事。

酔った勢いとはいえ、確かにそう言った事は覚えている。

本心だった。



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