嘘つきな君
それにしても、本当にお節介なオヤジ達だ。

人の恋愛にまで口出しするなっての。


でも、常務も29歳だし結婚の話が出てもおかしくないはず。

その前に彼女がいるのかさえ、知らないけど。


「――…彼女、か」


彼女。という言葉を思いかべた瞬間、心の中に闇が生まれる。

モヤモヤした気持ちが、心を覆う。


なんだろ。

この言い表しようのない感情は。


怒りなのか、悲しさなのか、虚しさなのか。

訳の分からない感情が胸を締め付ける。

思わず息を詰めて、唇を噛みしめた。

すると。


「ところで、そちらの若い女性は?」


ふと沢山の視線を感じて、伏せていた顔をパッと上げる。

すると、さっきまで輪になって話していた人達が私の方を見ていた。
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