嘘つきな君


――…その後の会議は、順調に終えた。

相変らずパーフェクトに仕事をこなした常務は、取引先の方々から沢山の賛辞の声が上がった。


「いやぁ~29歳の常務と聞いて、正直初めは驚いたが、しっかりした青年だ」

「さすが神谷グループのご子息ですわね」

「将来が益々楽しみですわ」


シャンパン片手に彼に群がる沢山の人達。

どの人も有名な企業の重役達。

皆、神谷ホールディングスの取引相手や傘下の人達だ。


「それに、こんな男前で。さぞ、沢山の企業のご令嬢から声がかかってるんじゃないか?」

「引く手数多だろう」

「私にも年頃の娘がいるが、どうかね」


お酒が回ってきたのか、ご機嫌なご老体達はお節介な言葉を撒き散らす。

それでも、ニッコリと営業スマイルを浮かべる常務は、さすがだと思う。


少し離れた場所で、シャンパンをチビチビと飲みながら、その様子を見守った。

こういう場所にいると、本当に神谷常務って一流企業の重役なんだなと再確認する。

それと同時に、住む世界が違うんだなと思い知らされる。


一緒にいると、近すぎてそんな事忘れちゃう事がある。

それに、いつもは我儘な子供みたいな所があるんだもん。

一流企業の重役っていうより、私にしたら我儘な意地悪男だ。

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