初恋の人
彼はもっと、女性に対して積極的な人だと思っていましたから。

「どうして?」

「はい?」

「どうして、詩野さんに手をつけないの?」

私と紳太郎さんは、見つめ合いました。

「さて、どうしてでしょうね。」

「あなたの妻よ。詩野さんだって、それを望んでいるわ。」

そう言って、胸がモヤモヤした事を覚えています。


公に、紳太郎さんに抱かれてもいい関係。

あの清楚なお嬢様の詩野さんに、初めて嫉妬しました。


「詩野は、まだ子供ですよ。」

「子供じゃなければ、手を付けるの?」

自分でもどうしてそんな事を口走ったのか。

恐らく、嫉妬からなのだと言う事は、自分自身分かっていました。


私も紳太郎さんに、熱く口説かれたい。

その手に触れて欲しい。

そして何よりも、激しく抱かれてみたい。

自分の中にある、淫らな感情に、気づいた時でした。

「もしかしたら……以前言っていた、結婚を決めた人がいるから?」


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