初恋の人
そう言って私は、右手で口を塞ぎました。

いくら何でも、そんな事を言ってはいけないような気がして……

「なるほど。そう言う考えもあるんですね。」

紳太郎さんは感心した後、意地悪な顔でニヤッとしました。


「なに?」

危険だ。

そう思った時には、紳太郎さんは私に、近づいていました。

「嫌っ!」

「シーッ!」

紳太郎さんは私の唇を、自分の指で塞ぎました。

その仕草がドキッとして、思わず紳太郎さんの目を、見つめてしまいました。

すると紳太郎さんは、もっと私に近づいて、私の耳元でこうつぶやきました。

「もしそれが……義姉さんだと言ったら?」

「か、からかわないで!」

私が紳太郎さんの側を離れようとすると、彼に後ろから抱きとめられてしまいました。

「何を……なさるつもりですか?」

「何も……これ以上は、何もしませんよ。」

強引なのに急に物分かりがよくなって、本当に分からない人でした。


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