初恋の人
首筋に当たる彼の吐息が、胸の鼓動を速くしました。

「冗談なら、このまま放っておいて。」

その次の事を考えると、私は彼を拒否できるか、自分で自信がありませんでした。

「僕が……本気だと言ったら?」

もう、胸の鼓動が彼に聞こえそうでした。

「そうやって、いろんな女を抱いているのでしょう?結婚を約束した人も……あなたが通っていると言う人も……」

「義姉さんは、何でも知ってるんですね。」

紳太郎さんは、クククッと笑い始めました。

「義姉さん。相手の事を気にせず、自分の気持ちを満たすだけの恋なら、遊びでもできる。でも、僕はそんな関係を、誰にも望んでいない。」

「皆、本気だって……言うの?」


そうなのだ。

この人はさぞかし、いい恋愛ばかりをしてきたのだろう。

だから一つの恋が終わっても、また心が満たされる恋を、探しに行くのだ。


「義姉さんなら分かるはずだ。心が通いあった関係なら、気持ちまで満たされると。」


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