初恋の人
優之介と咲野は、一歳違いのいとこになるのですが、二人は兄妹のように、幼なじみのように、親友のように、一緒に成長していきました。


紳太郎さんのお葬式の時、優之介は20歳で、医学校に通っていました。

咲野は19歳になっており、家で花嫁修業していました。

私と詩野さんで、お葬式の準備に追われていると、落ち込む咲野を、優之介が励ましていました。

その優之介の元へ、同級生らしき人が駆け寄りました。

年は同じくらいでしょうか。


私はゆっくりと、近づいていきました。

「ああ、お袋。」

優之介が私に気付きました。

「紹介するよ。同級生の新田圭佑。こちらは、妹の葵さんだよ。」

二人は兄妹仲良く、一緒に挨拶してくれました。

「圭佑さんと葵さんは、父のお友達のお子さんで、いつも私の家に、遊びに来ていたのよ。」

咲野の言葉で、思い出しました。


確か私が病院に戻るように、紳太郎さんを呼びに行った時、一緒にいた友人。
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