ロマンスがありあまる
終わった…。

今日の仕事が無事に終わったことに、私は助手席に座ったのと同時に息を吐いた。

「疲れたの?」

その声に運転席に視線を向けると、専務が車を運転していた。

「いえ、大丈夫です」

私は答えると、前を向いたのだった。

うっかりしていた。

ここは、専務が運転する車の中である。

てっきりお抱えの運転手がいるものなのかと思っていたのだが、専務曰く「それは社長の車だけだから」とのことであった。

…お金持ちの世界って、本当によくわからないなあ。

「今日はこのまま家まで送るよ。

家はどこなの?」

そう聞いてきた専務に、
「その前に聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」

私は言った。
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