ロマンスがありあまる
「何?」

「どうして私なんですか?」

そう聞いた私に、専務は訳がわからないと言う顔をした。

「私と婚約をして、専務に何のメリットがあると言うんですか?」

むしろ、デメリットしか思い浮かばない。

「自分で言うのもおかしいですけれど…美人じゃないですし、お金持ちじゃないですし、どこかにコネがあるって言う訳じゃないですし…」

ああ、自分で言って悲しくなってきた…。

でも事実と言えば事実なんだもん。

特にメリットも何もない私を専務は何がよくて婚約しようと思っているのか気になって仕方がない。

「私のことをからかっているんですか?

それとも、私の家庭事情を知ったから同情して…」

それまで口を閉じて私の話に耳を傾けていた専務が唇を開いた。
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