ロマンスがありあまる
会社を辞めて就職活動をしようと思っても、新卒じゃないからそんなにも自分を雇ってくれるところはないだろう。

何より、私にもいろいろと事情がある。

「――わかりました、秘書課に異動します」

そう返事をした私に、
「ありがとう、助かったよ」

社長はホッとしたと言う顔をした。

「それで、私は誰の秘書として働くんですか?」

まさか、社長じゃないよね?

そう思いながら聞いた私に、
「専務の秘書として働いてもらう」

社長が答えた。

「専務ですか?」

確か、専務は社長の娘だったはずだ。

年齢も私とそうたいして変わりはなかったと記憶している。

「私の息子で、名前を鷹司国光(タカツカサクニミツ)って言うんだ」

社長が言った。
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