ロマンスがありあまる
だけど、これを見るたびに家でも専務のことを思い出しそうになるなと思った。

本当に専務と婚約した…のよね?

私は、都合のいい夢を見ているんじゃないだろうか?

目が覚めたら、何もかもが夢でした…なんてことないよね。

試しに自分の頬をつねってみた。

…痛かった。

専務に“好き”と言われたことも、キスをされたことも夢じゃない。

そして、ドキドキとうるさいくらいに鳴っているこの心臓もそうである。

石けんを見ただけでドキドキするって、私はどこの変態だ。

「あのバカ息子が…」

そう呟いて石けんから目をそらすと、洗面所を後にした。

会社はともかく、家に帰っても何で専務のことを思い出さなきゃいけないんだか…。
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