ロマンスがありあまる
石けんを使い始めてから1週間が経った。

「遠野さん、肌の調子がよくないですか?」

亀田さんに声をかけられたので、
「そうですか?」

私は自分の頬に手を当てた。

「恋のおかげですか?」

続けて聞いてきた亀田さんに、
「それは…ああ、最近石けんを変えたからだと思います。

そのおかげで肌の調子がいいのかな、なんて」

私は答えた。

「へえ、そうなんですか」

亀田さんは納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。

「石けんを変えたのは、専務と婚約をしたからですか?」

亀田さんが聞いてきたので、
「いえ、そこは何となくで…」

私は首を横に振って否定した。

石けんと専務が関わっていると言うことは事実ではあるけれど、変な解釈をされないためにも否定したのだった。
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