ロマンスがありあまる
「お母さんは?」

私が聞くと、
「パートに行ってる、夕方には帰ってくるって」

紫子が答えた。

「スーパーマーケットはお盆休みはないもんね」

そう言った私に、
「お姉ちゃん、今日の夕飯で何か食べたいのある?

あたしが腕によりをかけて作るから!」

紫子はニッと白い歯を見せて笑った。

「腕によりをかけてって、すごいものは作らなくていいから」

苦笑いをした私に、
「お姉ちゃん、いつも頑張ってくれているじゃん。

あたしにはこれくらいしかできないけど、お礼をさせて欲しいんだ」

紫子が言った。

「あー、うん…」

私は呟くように返事をして、首を縦に振ることしかできなかった。

「あたし、高校卒業したら働くから」

そう言った紫子に、
「えっ、大学には行かなくていいの?」

私は思わず聞き返した。
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