ドキドキ同居しています
「こ……ここのコーヒーびっくりするくらい美味しくて全部飲んじゃったから、もう1杯買ってくるね!」

とても不自然な言い訳をして、同じコーヒーを買いに行く。

また同じ過ちをおかさないように、2杯買ってきた。



特に見たい映画ではなくて。

まだ帰りたくないから。

デートの時間を終わらせたくないから。

そんな理由で映画館にいる。


興味のない映画がスクリーンに映ってる。

でも、隣に好きな人がいるだけで、楽しくて。

このまま、ふたり並んで、ただ一緒にいたくて。

デートの間だけは、お兄ちゃんを恋人だと思っていたくて。


映画より、お兄ちゃんの横顔を見つめていた。

お兄ちゃんの手が私の手を握って。

私も握って。

指と指を絡ませた恋人つなぎに落ち着く。


私のドキドキ、手のひらから伝わってる?

あなたといると、いつも心臓がドキドキして。

あなたを想って苦しくなるの。


お兄ちゃんが私の方を向いたとき、視線が妖しく絡んで。

このまま見つめあってたら、自分を抑えられなくなりそうで。

どうしよう。


お兄ちゃんの手が、私に向かってそっと伸びてくる。

お兄ちゃんは、私の頭を自分の肩にもたれさせると、その上に、自分の頭を寄せてきた。

私の髪を、愛しそうに撫でる。

お兄ちゃんのシャンプーの香り。

髪を撫でる優しい手の感触。

私の心は、すっかり溶かされていた。

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