混 迷

そう、私は今妊娠中で
まもなく八ヶ月になる。

元から、日本で出産するつもりはなかった。
ママが来てくれると言っていたし
羚と一緒に出産に望みたかったから。

だけど、雛さんの式にも出る必要ないと
言い切る羚に
最後の手段で脅しをかけた。
式にでないなら
お祝いだけでもして
と、お願いした。

羚は、渋々だったが
咲空と一緒に出産を迎えたいから
咲空の願いを聞いて
日本に戻り雛と葵と
会って雛にお祝いをした。

雛は、泣いて喜んでいた。
咲空さんにお礼を言ってほしいと
本当なら会ってお詫びとお礼を言いたいけど
大事な時期だから
私に会わない方が良い
と、言っていたらしい。

羚も雛が、反省しているのも
わかっていたが
自分のどこかに許せない
思いがあった。

葵は、兄の気持ちもわかるし
雛の思いもわかるからと
中立の立場にいた。

ただ、兄の表情がとても豊かに
なっていて、驚きや嬉しさが込み上げていた。

俺もあんな表情になれる人に
出会いたいものだと。

羚は、赤ん坊の話し
咲空の話をされると
とたんに表情が緩んでデレデレになる。

まったく、アメリカに行った当時とは
大違いだ。
それだけ、咲空さんの存在が大きく
二人の愛情が深い事がわかる。
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