芸能人の彼と普通の女子高生。
「学校だと堂々とは着けていられないから仕方ないんだけどーーー」
ネックレスを見ながらどこか訝しげな顔をしていた奏大さんは、ハッとした顔になり何かを見つけたようで一点を見つめては、突然黙ってしまった。
「....?」
そして先ほどよりも私の首を凝視する。
何だろう。
奏大さんの表情が硬くなったのが分かった。
けどその時、私は奏大さんが自分の部屋にいるということに驚きすぎて大事なことを1つ忘れていた。
「愛衣、この首の痕。....何?」
一段と低い声となった奏大さん。
「痕....?」
何かの痕なんて首にあったけ?って一瞬考えた。
そしてすぐにハッと思い出した。
痕って、もしかして、
「さっき......」
大川君が付けたと言っていた。
正直、言われた時には何が何だか分からなかったけど。
少し冷静になった今なら分かる。
私はあの時首にキスをされた。
そして痕と言っていたのは世に言うキスマーク。
大川君がどんな物よりも意味を持つと言って私の首に残したのはキスマークだった。