芸能人の彼と普通の女子高生。







その後奏大さんはお父さんの言い付け通りきちんと手洗いうがいを済ましてから、我が家の食卓についた。







「お父さん、お母さんはまだ?」





「あぁ、もうすぐ来るはず。ちょっとパソコンやってもらってたから」






「そうなんだ」





お母さん、絶対驚くよね。





私だってことの成り行き最初から見てたはずなのに未だに驚いてるもん。






いきなり食卓に男の人、しかもこんな格好いい人が座ってたらびっくりしないほうが難しい。






お母さんはイケメン大好きだから普通に喜ぶだろうけどさ。






「さー、食え若者ども」






そう言ってお父さんが並べたのは美味しそうな野菜炒めとお父さん自家製ハンバーグ、そして付け合わせのお漬物とワカメスープ。






特別驚くことはない、うちでは至って普通の夕飯。






「あの、奏大さん、食べられそうですか...?」





「大丈夫。ていうか飯なんていつも外で食べるか適当に済ましてたからこういう普通の家庭的な飯久しぶり」





そう言った奏大さんはクールな顔を少しだけ柔らかくしたように見えた。






「そうなんですか....」






ご飯が適当ってなんだか寂しくならないかな...。




もちろん今までのその人が育ってきた環境とかによってもその価値観は大きく異なるとは思うけど。





特に自分にとって大切な人と美味しいねって言いながら食べるご飯は本当に美味しくて幸福感を与えてくれるって私は思うんだよね。






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