芸能人の彼と普通の女子高生。









『私、まだなんにも言ってないじゃない!そにれ、自分の幸せくらい自分で決めるよ!!』






『空......』





『私は夕日さんのことが好きです!』





意を決して告白した空。





そして、






チュッ





勢いのまま溢れ出た気持ちを伝えるように空は夕日にキスをした。






「っ.....」






その瞬間、私の胸にはチクっと痛みが走る。







途端に胸が締め付けられる。






嫌だ。







すぐに空は恥ずかしくなり唇を離したが、今度は夕日からキスをする。






飄々とした態度を一変させ、空の気持ちに応えるように、情熱的に、角度を変えて何度も何度も。







奏大さんがキスをしてる。







私の知らない情熱的な顔をして。







これは物語だって、これは演技だって分かってる。








分かってるのに、






嫌だ。







苦しい。








胸がぎゅっと締め付けられているみたいに苦しくて痛くて。








思わず、無意識のうちに手で胸を押さえてしまっていた。







この痛みは消えることはないんじゃないかって思えてしまうほど痛くて、大きくて。






私の中はその痛みで占領される。





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