空を拾う
ソラは一体どんな目に会ったのか。
疲れきって、自分の膝にもたれたままピクリとも動かないソラを悟は軽く揺さぶった。
「ベッドで寝ろよ。風邪引くぞ」
「ん…、いい」
そう言うとソラはのっそりとソファーによじ登り、今度は悟の膝を枕に寝息を立てはじめた。
手足を胎児のように丸め、ソファーにすっぽりと収まっている。
猫みたいだな、と思った。
するりと悟の心に入り込み、もうずっとここが自分の居場所であったかのような顔をしている。
独身の男の部屋だというのに、警戒している風でもない。
「ん…」
身じろぎをしてこちらに顔を向けたソラの長い睫毛の下から一筋だけ零れ落ちた涙を、悟は優しく指で拭った。