次期社長の溺愛が凄すぎます!
***
まさかね~。なんて思っていたわけなんだが、そのまさかである。
水曜日。お洒落な近代的高層ビルの藤宮重工本社ビルに着くなり総務課長を紹介された。
40代の半ばくらいかな。人懐っこそうな原さんに微笑みながら挨拶して、彼に本社の内部を案内してもらっていた時だった。
「斎藤麻衣子?」
フルネームで呼ばれて振り向くと、バリッと三つ揃えのスーツ姿の男性が立っていた。
あの当時も無表情で冷たい印象だった。
でも男らしくキリッとした眉、くっきりした二重の目。高くて真っ直ぐな鼻筋は忘れてない。
眉目秀麗さは、あの時のまま変わらずに、その人は私を見下ろしていた。
いい男って、年取ってもイケメンなんだな。
さて、どうしよう。斎藤なんてどこにでもあるポピュラーな名前だと思う。
だけど藤宮さんは今、フルネームで私を呼んだよね。
案内してくれている原さんが隣にいる状況で、『人違いです~。おほほほほ』ってしらばっくれるのもどうかと思う。
しかも、見た感じ、藤宮さんは確信を持って私の名前を呼んだ。
どう答えようか考えている間に、原さんが先に口を開く。
「藤宮部長。斎藤さんをご存知なんですか?」
部長? あの当時もあの若さで課長って驚いたものなのに、今では部長?
出世がめちゃめちゃ早くない? あれ、でも五年は経ってはいるんだから、順当と言えば順当なのかな?
まさかね~。なんて思っていたわけなんだが、そのまさかである。
水曜日。お洒落な近代的高層ビルの藤宮重工本社ビルに着くなり総務課長を紹介された。
40代の半ばくらいかな。人懐っこそうな原さんに微笑みながら挨拶して、彼に本社の内部を案内してもらっていた時だった。
「斎藤麻衣子?」
フルネームで呼ばれて振り向くと、バリッと三つ揃えのスーツ姿の男性が立っていた。
あの当時も無表情で冷たい印象だった。
でも男らしくキリッとした眉、くっきりした二重の目。高くて真っ直ぐな鼻筋は忘れてない。
眉目秀麗さは、あの時のまま変わらずに、その人は私を見下ろしていた。
いい男って、年取ってもイケメンなんだな。
さて、どうしよう。斎藤なんてどこにでもあるポピュラーな名前だと思う。
だけど藤宮さんは今、フルネームで私を呼んだよね。
案内してくれている原さんが隣にいる状況で、『人違いです~。おほほほほ』ってしらばっくれるのもどうかと思う。
しかも、見た感じ、藤宮さんは確信を持って私の名前を呼んだ。
どう答えようか考えている間に、原さんが先に口を開く。
「藤宮部長。斎藤さんをご存知なんですか?」
部長? あの当時もあの若さで課長って驚いたものなのに、今では部長?
出世がめちゃめちゃ早くない? あれ、でも五年は経ってはいるんだから、順当と言えば順当なのかな?