次期社長の溺愛が凄すぎます!
「そうなの? 普通なのかな」

「そーですねー。相手を手に入れたいなら、あざといくらいの手練手管は使いますよ。女性だって一緒です。相手に綺麗だね、可愛いねって思われたいから化粧もしますし、服装も気を使いますよ」

「そうだったかなー……」

私が奏斗とつき合っていた当時も、奏斗に“可愛いね”って思われたいからなんて理由はなくて、ただ着たいものを着ていた気がする。

今はそれなりに化粧もするし、しないとヤバイからする。

お洒落を楽しんでるけど、誰かに“個人的にどう思われるか”は重要じゃなくて、社会人として公に身だしなみとか、その場に合うようにしようという意味合いが強い。

「基本はそれが着たいから、なんですけどね。相手がいたら、少しは合わせるものでしょう。相手の好みなら、裸エプロンも喜んでするかもしれません」

「え! 三島さんはするの!?」

それはかなりの勢いで引くと思うけど!

ギョッとしたら、冷たい視線を返された。

「私は断固拒否しますよ。それでも自分の好みだけを強要してくる関係なら、その人とは縁がないんです。努力はしますが、押し付けられるのはうまくいかないです」

なんとなくホッとした。まあ、厳しいようでも、歩みよりは大切だよね。

「私、きちんとお断りしてるんだけどなぁ」

「粘り強い方なら、粘り強くお断りしないと通じないときもありますよ」

事も無げに言われて、眉間にシワが寄った。

五年前、藤宮さんは私に一目惚れをしたらしい。

五年、ほとんど諦めていたところに再会してしまって火がついたらしい。

もしかして、私も五年くらい断り続ければ、藤宮さんも諦めがつくんだろうか。









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