次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


時刻は仕事もとうに終わった夜20時過ぎ。約束通りに空港まで迎えに来た。

到着ゲートから出てきた人達は、足早にすれ違っていく。

時間が時間だから、早く目的地につきたいんだろうなと結論づけて、その流れに逆行する人は私ひとりってわけでもないけど、そんなに多くもない。

考えてみれば、お願いみたいに『来て欲しいな』って言われたって、迎えに来る必要はないんだよね。

バラのお礼はキチンとしなくちゃ、とは思っても、何も藤宮さんの希望のままにしないといけない理由もないんだし。

だいたい私は彼に対して断りしまくっているんだし、そんなことしてるくせに、こんな行動は、やっぱり何か違うんじゃないかなって感じてきた。

だって藤宮さん、将来結婚とかするつもりなんでしょう?

30歳過ぎて、私に構っている暇もないんじゃないのかな。

男性と女性じゃ、結婚適齢期は違うかもしれないけど、20代の頃よりも焦らないといけないのが30代じゃないの?

何て言うか……ほら、タイミングも大事だけど、タイムリミット的なものもあると思うんだよね。

うだうだうだうだ考えていてもはじまらないし、どうしようもないんだけど、今日は帰ってしまおうか。

でも約束したことは破りたくないし、約束は守るものだ。

ああ、どうしよう。
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