次期社長の溺愛が凄すぎます!
すっぽかすのは大人としてNGだ。

かといって、三島さんいわく“デートっぽい服装”でお出迎えなんかしちゃったら、もっとダメっていうか。

違うんだ! この服装は藤宮さんに対しての予防であって、気分うきうきデートを楽しみにしてる乙女心のなせる技ではないんだ!

そりゃ、華やかな服装は楽しい。

だけど、私は私の……主に心の平安を保つために着ただけだから!

頭をかきむしろうとして手を止めた。

せっかく三島さんが楽しく結ってくれたのに、乱すのは申し訳ない。

いいよって言ったのに、編み込んで、クルリンパしてくれたし、こんな凝った髪型を直す器用さは私にはないし。

とにかく落ち着こうか。

深呼吸をして立ち止まると、気がつけば到着ロビーの外れまで来ていた。

どっちにしても、そろそろ藤宮さんは帰国しているんだろうから、お迎えをして、さっさと帰ろう。

お帰りなさいって言って、それで義理は果たされるはず。

飛行機を降りて、荷物を取って、出てくるまで時間はまだあるはずだろう。

そう思って、来た道を戻ろうと振り返ったら、何とも複雑そうな表情の藤宮さんと末松さんが、ちょっとだけ離れたところに立っていた。
< 130 / 197 >

この作品をシェア

pagetop