次期社長の溺愛が凄すぎます!
考えていたら、藤宮さんは楽しそうに私を見下ろしている。

「今日は、ずいぶん可愛らしい格好だ」

「あ、ありがとうございます。夕飯がどっちになるかわからなかったんで……」

そこまで言ってから、まだ挨拶らしい挨拶もしていないことに気がついた。

「お帰りなさい、藤宮さん。ロスからニューヨークなんて大変でしたね。って、ひゃぁあ!?」

急に腕を引っ張られて、ボスッと彼の胸元に飛び込んだ。

そのまま抱きしめられて、あわあわ両手を動かして身体を離そうと試みる。

「あ、あの! 末松さんが見てますから! 人前で何をやってるんですか!」

「末松は気にしないよ」

絶対に気にするでしょう?

そう思って、身をよじりながら末松さんの方を見ると、とても呆れたような視線とぶつかった。

「気にしないっていうか、呆れてますから! 離してくださいって!」

「……嫌だ」

「実力行使に出ますよ! 殴ってもいいんですか!?」

それも嫌だったのか、しぶしぶ離れてくれた。

「なんなんですか、急にこんなこと……」

「急でもない。何と言えばいいのか、抱きしめたくなった」

そんな理由で抱きしめられたら、こっちはすっごい困るんだけど。
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