次期社長の溺愛が凄すぎます!
「和志、病院って何。誰がどうしたの。ちゃんとわかるように説明しなさい」

『俺もまだ着いてないから詳しいことはわかんないよ。だけど、おやっさんが親父が工場で倒れたって言うから』

よほど慌ててるのか、わかるようでわからないことを言う。

連絡が来て、和志は急いで病院に向かっている途中。

この子の言う“おやっさん”は、工場のおじさんたちの誰かだろう。

で、父さんが倒れたってことだね。

深呼吸をしてから、スマホを握りしめた。

「父さんが……って、母さんに連絡はした?」

『したよ!』

「なら、美夜ちゃんとりゅうちゃんは?」

『美夜は俺の隣で運転してる。りゅうは美夜の実家に預けた。だから、まだ病院着いてない。どうしよう姉ちゃん。親父がいなくなったら俺はまだ半人前で……』

泣き言を言い始めた和志にカチンときた。

「あんたねぇ! まだ状況もわかってないのに、グダグタ言ってんじゃないの! 半人前までいけてれば上等よ。とにかく、今はハッタリでもなんでもかまして、あんたがしっかりしないでどうすんの! 男でしょ!」

悲鳴のように泣き言を言い続ける和志から、どこの病院に搬送されたか聞き出して、通話を切った。

それから目の前の藤宮さんを見上げる。
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