次期社長の溺愛が凄すぎます!
「わかった。今、末松が車を取りに行っている」

「はい?」

真顔のままでスマホを握りしめながら、少しだけ間の抜けた声を上げる私に、藤宮さんは真剣な顔をして頷く。

いったい何をわかって、車を取りに行っていらっしゃる?

というか、末松さんどこー?

「それで、どこの病院だ」

あ。これはまさかの送ってくださるフラグか。

「送ってくださるつもりなら結構です。帰国したばかりで、ご飯も食べていないのに、いけません」

「うん。しっかりしている様子だが、見た目ほど落ち着いていないはずだ。俺はしっかり覚えている。大丈夫と言いながら、ホテルを出るまで五回も壁にぶつかりそうになったんだ。危なくてしょうがないから、吉田さんは君を家まで送っていったはずだよ」

真剣な眼差しのまま、優しく言われてキョトンとした。

それは……知らない。吉田さんが出てきているから、きっとそれは五年前のことなんだろう。

だけど、そんなことは記憶から抜け落ちてしまっている。

呆然としていたら、藤宮さんは私の手からスマホを取り上げ、いきなり歩きだしたからギョッとした。

「ふ、藤宮さん!?」

「取り返したかったらついておいで。麻衣子は強情で、たまに困る」

「いや、困るのは私の方ですから!」

慌てて彼を追いながら、私は大きな声で騒いでいた。










< 135 / 197 >

この作品をシェア

pagetop