次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


病院の駐車場に到着するなり、藤宮さんに手を繋がれて走り出す。

時間外入口から入り、警備員さんに言われるまま受付で名前を書いて、来館証を貰うなり急いで自動ドアを抜けようとして、寸前で藤宮さんの腕に阻まれた。

「麻衣子、よく見て歩け。ここは自動じゃない」

そう言って、ガラス扉を押してくれる。

「あ、ありがとうございます」

「慌てるのは理解するが、深呼吸しようか」

そう言われながら、また手を繋がれてエレベーターまでエスコートされる。

和志から聞いていた病室がある階のボタンを押し、扉が閉まって……それから繋がれた手にハッとした。

「な、なんで藤宮さんがいるのっ!?」

驚きすぎて、敬語も何もかもぶっ飛んだ私を、藤宮さんはまじまじと見つめてくる。

「……うん。麻衣子は時間が経てば経つほど、パニックになるんだな。覚えておく」

それは忘れてほしい。

いやいや、そうじゃなく、送ってくれるのはありがたかったけど、尚且つ堂々とついてくるって……。

「藤宮さん、これ以上は本当に悪いので、帰ってください」

「俺の心の平安のためにもついていくだけだから。今の麻衣子は壁に突撃していきそうで」

……ガラス扉に突撃しただけに、何も言えない。
< 136 / 197 >

この作品をシェア

pagetop