次期社長の溺愛が凄すぎます!
……何だか妙に上から目線なこと言われてる。

そう思ってちらっと藤宮さんを見上げると、真っ直ぐな視線と目が合った。

藤宮さんはいつも通りの真面目な表情。

変わらない彼に、どこか安心している私がいて驚いた。

「わかりました。慌てて騒いだら、助けてください」

「了解だ。全身全霊で助けてやる」

そんなことを、キリッとしたままで言うから笑ってしまう。

ゆっくり歩きだして進むと、廊下にたむろっているおじさんたちが見えた。

「麻衣子ちゃん。来たか」

おじさんのひとりが私に気がついて、そして複雑そうな顔になって黙りこむ。

やっぱり、父さんの容態は悪いんだろうか。

「遅くなりました。父さんの容態は……?」

近づいて声をかけると、病室から母さんが顔を出す。

「あら~。あんたも来たの? シゲさん、あんたったら大袈裟に伝えたんでしょ。まぁ、廊下じゃなんだから、入りなさいよ」

そんなことをあっけらかんと言うから、瞬きをした。

そのまま病室に入ると、微妙な笑顔の美夜ちゃんと、怒ったような和志の姿が見える。

それから拗ねたように唇を尖らせて、厳つい顔を、精一杯ショボくれさせている父さんがベッドに横たわっていた。
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