次期社長の溺愛が凄すぎます!
母さんには「ネックレスくれた彼氏ね」とからかわれ、和志には無言で顔を顰められ、美夜ちゃんには「義姉さん頑張って」とよくわからない声援もいただいた。

あの日にいた工場のおじさんたちにも、好奇心いっぱいの顔されて……あれもきっと誤解している。

もう面倒くさいから「別れたんだよねー。あはははは」とか、後で誤魔化せばいいかな。

「藤宮さん、特に重病でもないので、仰々しくお見舞いなんていいですよ。そもそも念のための検査入院ですし。それでなくてもあなたは出張とか仕事とか、下っ端の私と違って忙しいんですから」

「下っ端と言っても、麻衣子も総務部の主任だろう? それに、話をしていると楽しいし、勉強にもなる。君のお父さんは根っからの技術者……というより、職人だな」

そう言われてチラッと横目で見ると、父さんは満更でもない表情をする。

父さんは昔から社長とか技術者と言われるよりも、職人技と言われるのを好むから。

いつの間にうちの親父のツボを心得てるんだ、あなたは……。


でも本当に話は合うみたい。

私には理解できない専門的な話も多かったけど、藤宮さんと父さんはしばらく機械技術的な話を続け、面会終了時間になってから、ふたりで病室を後にした。
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