次期社長の溺愛が凄すぎます!
そもそも、自分の部屋ではない人のベッドの上なんて居心地……は、いい感じに低反発で寝心地は良さそうで、ちょっとフニフニ押したら楽しい感じだ。

いや、そうじゃなくって、男の人のベッドに横になるとか、無理だから!

迷いに迷っていたら、またドアが開いて藤宮さんがタオルを片手に入ってきた。

座り込んだままの私を見つけて、スッと目を細める。

「麻衣子。君は俺に押し倒されてもいいのか?」

あんぐりと口を開けたら、藤宮さんはじりじりと近づいてきた。

「無理です無理! 自分で横になります、ならせていただきます!」

痛む頭を押さえながら仰向けになると、ホカホカのタオルを目の上に置かれる。

「……あの?」

「目の腫れには、蒸しタオルと冷やしたタオルを交互に使うといいらしい。時間は三分だそうだ」

藤宮さんにしては珍しい、妙に曖昧な言い回しだな。

「いいらしいんですか?」

「ネットで調べた。実際にやったことがないからわかないんだ。でも効果はあるらしい」

調べてくれた“らしい”。

そう思ったらなんとなくおかしくなって吹き出した。

「何かおかしなことを言ったか?」

藤宮さんは特におかしなことを言っているわけじゃない。

ただ、私の目が腫れていることに気がついて、一生懸命調べている藤宮さんと想像すると……ちょっと不思議。
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