次期社長の溺愛が凄すぎます!
「藤宮重工も元財閥系ですよね」

「うちは元華族ってやつだ。とはいえ、一度は落ちぶれている。戦前の鉄鋼業で成り上がったのも同然で、昔は武器屋なんて呼ばれていたらしい。事業の方向転換したのは父の代から」

違いがわからない。てか、聞きなれない単語がポコポコ出てきたー!

「えーと。お、お見合い……ですか?」

「ハッキリとは言われていないが、顔合わせをするつもりでいるんじゃないかな。放っておくと確実に“見合い”になるだろう。もう、見合いはこりごりだ」

藤宮さんは無表情にそう言って、向かいのソファーに座った。


そうだね。あなたの以前のお見合い相手は、結納までしたくせに浮気したんだよね。

「……わかりました。行きましょう。これって人助けですかね?」

「そうなるな」

「それなら、気合い入れないとですね」

お金持ちの会社の息子も楽じゃないよねー。

家みたいな小さな町工場に毛が生えたぐらいの会社令嬢なんか、足元にも及ばないや。

「俺も30越えたから、親父も心配なんだろうがな。見合いで相手決める時代でもないだろ」

「それ、モテ男の理論じゃないですか? 最近は婚活パーティーなんかもありますし。あれって盛大なお見合いですよね」

「へぇ。そんなのもあるのか。行ったことあるのか?」

結婚に興味ない。そう言いかけた時に、スーツ姿の女性が戻ってきた。
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