次期社長の溺愛が凄すぎます!
「いらっしゃいませ。ようこそ藤宮様。お待ちしておりましたわ」

隙のないエレガントなスーツ姿の女性に連れてこられたのは、洋服売り場の裏側にある個室。

個室と言っても、広さはマンションのひと部屋くらいの面積はあると思う。

「もう少々お待ちくださいませ」

そう言ってスーツ姿の女性がいなくなると、藤宮さんは肩の力を抜いた。

示された方向に座り心地のよさそうなソファーがあって、まるで洋風の居間のような雰囲気。

その脇にはパイプハンガーにズラッと吊るされた女性ものの……。

「ドレスに見えるのは気のせいでしょうか?」

「ドレスよりはカジュアルなものを頼んでおいたんだが」

ヒラヒラ、フリフリ、豪華刺繍入りまで、まぁ、色々揃っちゃってる。

「もしかして……昨日の延長で、創業祝賀会に誘われています?」

「麻衣子は言いわけを言っていただけで、断らなかったから」

女が言いわけをしたら、拒否だと思ってくれた方がいい。

溜め息をつくと、ソファーに座った。

「ひとりでも平気とか言って、どうして私を誘いたがるんですか」

「近寄ってくる有象無象はどうとでもなるが、父親は無視できなくてね。帰国前に旧財閥系の社長令嬢の話をされた」

旧財閥系の……って、なんだろ、社会科の教科書で見たことがあるかもしれない。

でも、財閥は事実上解体されてるんだよね。
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